今、竹芝の東京国立近代美術館で回顧展が開催されているヒルマ・アフ・クリントの映画を観てきました。2019年につくられた映画で、展覧会にあわせての再上映だそうです。
全く知らない女性画家なのですが、展覧会のフライヤーを見た時から見たこともない絵の世界が広がっているように思えてずっと気になっていました。

ヒルマ・アフ・クリントの生涯や絵画を伝える映画かと思っていたのですが、それだけではなくジェンダーの視点でとても興味深い内容でした。
映像もとても美しく、リズムも心地よかったです♡
【以下、ネタバレあり】
美術史の世界が男性優位であることをこの映画を通してはじめて認識しました。確かに著名な画家は男性ばかりかも。フリーダ・カーロ、カミーユ・クローデルの名前が浮かびますが、ともに夫が偉大な芸術家でかつふたりとも夫に翻弄された人生でした。
ヒルマ・アフ・クリントは生涯独身を貫いたそうです。当時は女性は結婚したら夫を支え、子育てをするのが当たり前の時代だったそうですが、彼女はそのような人生とは距離をおきました。
カンディンスキーよりも前に抽象画を描いていたにもかかわらず、女性ということもあり美術史家や美術館からは見向きもされなかったそうです。
それでも自身の絵の力を信じていたようで、数万ページにも及ぶ作品メモとともに残されていました。但し、託された甥は困惑されたようで、無防備に保管されていたそうです。
神秘主義、神智学に傾倒していった様子を知って、あの魅惑的な絵がなぜ描かれたのか少しわかったように思いました。シュタイナーとのつながりも興味深いエピソードでした。
彼女の発見は美術史を塗り替える、まさに“事件”といえますね。
展覧会、早く行かなくては❣️